BioHome3Dは、バイオベース材料のみを使用した3Dプリント住宅のことで、2022年に発表された世界初の技術です。
今回の記事ではこのBioHome3Dの魅力をお伝えいたします。
BioHome3Dとは
BioHome3Dとは、バイオベース材料のみを使用した3Dプリントによる住宅建築の名称です。この技術は米国メイン大学のASCC(Advanced Structures & Composites Center)により開発され、2022年11月に発表されました。
BioHome3Dは、環境に優しく低コストな住宅を大量に建設できることから、環境問題・住宅不足問題の双方の観点から注目を集めています。
完全リサイクル可能な家
BioHome3Dの最大の特徴はずばり、「100%リサイクル可能な家」という点でしょう。これまで実現されてきた3Dプリント住宅では、コンクリート基盤の上にコンクリート壁が印刷されることが一般的でした。
再生可能材料を使用した3Dプリント建築物と言った場合でも、屋根を支えるフレームやトラスなどは別で用意をする必要がありました。
一方、BioHome3D住宅では、床、壁、屋根を含むすべてのパーツが木質繊維とバイオ樹脂によってプリントされています。
この特徴により、建築業界全体の課題であった二酸化炭素排出量を、短期・長期の両方のスパンで軽減させることが可能になりました。
すなわち、住宅全体を3Dプリントすることにより、短期的な施工の無駄を無くすことができます。
さらに、100%バイオベース材料を使用することで未来の世代による完全リサイクルが可能になり、長期的な環境負荷を減らすことができます。
住宅不足の解決策
このように持続可能な建築物であるBioHome3Dですが、施工完了時間が非常に短いという特徴も持っています。4つのモジュールが別の場所でそれぞれ印刷された後、施工現場へと運ばれ、なんと半日で組み立てが完了したそうです。
通電も、一人の電気技師によって迅速に行うことができたとのことです。
このように短時間かつ少ない労働力で住宅の建築ができることから、特に米国メイン州(BioHome3D開発機関の拠点)で課題となっている低~中所得者向けの手ごろな価格の住宅の不足の解決手段としても、注目が集まっています。
最後に
今回は100%バイオベース材料でできた3Dプリント住宅についてご紹介しました。 建築物という大きなものでさえ自然に還る材料のみで作り上げる技術。
現代では珍しいと思いますが、数十年後には私たちが住む家も全て、完全リサイクル可能なものに置き換わっているかもしれませんね。
参考リンク
BioHome3DFirst 100% bio-based 3D-printed home unveiled at the University of Maine