リフォーム現調シリーズ第10回目の今回は、「外壁」リフォームの現場調査について、ポイントをまとめました。
▽前回の記事内容はこちらからご覧いただけます。
【リフォーム現調シリーズ】
【リフォーム現場調査】:外壁リフォームのきっかけ
外壁をリフォームするきっかけ
外壁リフォームの目的は、見た目の美しさを蘇らせる「美観」と、お家の寿命を長く保つ「保護」の2つとなります。お客様が感じる悩みだけでなく、プロの目から見たときに「保護」的な課題がないかをしっかり押さえた現場調査が必要になります。
外壁をリフォームする具体的なきっかけとしては、下記があげられます。
【外壁の老朽化】
外壁のヒビや劣化は、美観だけの問題ではなく、建物自体の寿命を縮める原因にもなります。
そのため、定期的に塗り替えが必要な外壁もあります。
ひび割れ・剥がれ
経年劣化により塗膜が付着力を失って発生する、割れや剥がれ
変色・色褪せ
紫外線や雨水の影響で塗膜表面が劣化してできた、変色や色褪せ
膨張・浮き
塗膜に気泡や液泡が発生することで発生した膨張や浮き
苔などの発生
カビや苔、粉塵などによる、壁の汚れ
チョーキング
手で外壁を触ると白い粉が付着する現象(チョーキング)
腐食・欠損
金属部分の赤錆や腐食
【他のリフォームと合わせて】
耐震工事や、屋根のリフォームなど、他の箇所のリフォームに合わせて、「耐震性」や「断熱性」の向上のために行われることもあります。
特に、屋根のリフォーム時には足場を組む必要があるため、一括でやってしまった方がコストダウンにもなります。
現場調査時には、「同時にリフォームをする」提案もしてみるとよいでしょう。
外壁の種類と特徴
外壁には、大きくわけると4種類あります。
モルタル
スタッコ仕上げ
化粧漆喰とも呼ばれる外壁。 凸凹しており、石灰と水、セメントや砂などを混ぜて作られている。 重厚感があるデザインになる。
リシン仕上げ
化粧漆喰とも呼ばれる外壁。 表面が細かい砂のようにザラザラ。 主に1990年代前半まで外壁によく使われていた。塗膜が薄く耐久性や防水性が劣る。 重厚感があるデザインになる。
ボンタイル仕上げ
化粧漆喰とも呼ばれる外壁。 表面が細かい砂のようにザラザラ。 吹き付けタイルとも呼ばれる。 合成樹脂が加わるため ツルツルした質感になる。 重厚感があるデザインになる。
サイディング
窯業系
原料はセメント、繊維質の木片や無機物を混ぜて成形。最も多く使われている。防火性、耐震性、遮音性に優れている。
金属系
ガルバリウム、アルミニウム、ステンレス、銅、鉄などの金属で作られている。ヒビ割れや紫外線に強い。レンガや石積み風のデザインもある。
木質系
天然木に装飾を施したもの。断熱性が高い。 メンテナンス費用がかかる。
ALC(軽量気泡コンクリート)
主原料は、珪石、セメント、生石灰、発泡剤のアルミ粉末。 高温高圧蒸気養生という独自の製法による軽量気泡コンクリート建材。
タイル
湿式タイル
モルタルを使って壁に貼る方法。外壁には「式質タイル」や「せっき質タイル」が使用される。定期的に目地の割れや剥がれなどの点検が必要になる。
乾式タイル
ベースサイディングを通気工法で施工した後、下地に引っ掛ける、接着剤で接着するなどの方法でタイルを貼る方法。施工期間の短縮&コスト削減ができる。
参考になる外壁塗装の関連ページ
外壁リフォームについて参考になりそうな他社さんの記事をご紹介します。
▽外装材の詳しいメリットデメリットを知りたい方におすすめ
アップハウジング「外壁材の種類は何がある?サイディング・タイル・モルタル・ALCのメリット・デメリット」
▽塗装の相場感を知りたい方におすすめ
ヌリカエ「料金計算ツール」
外壁リフォームの方法
塗り替え
「塗り替え」とは、今ある既存の外壁材をの上から塗料を塗ること、いわゆる「外壁塗装」。
建物の外壁が健全、もしくは補修可能な場合に行うメンテナンスで、クラックなどがある場合は補修した上で塗り替えを行う。
塗装によって、美しい外観を実現しつつ、防水性を回復させるなど、住宅を保護する。
メリット
・施工費用が安い
・使用する塗料によっては長持ちするものもある
デメリット
・外壁が健全か、補修可能な場合に限られる
・補修不可能な損傷がある場合は施工できない
張り替え
「張り替え」とは、今ある外壁材を取り除き、新しい外壁材を取り付けること。補修不可能な不具合が発生している場合に行う外壁リフォーム。
劣化した部分を取り除き、まっさらな状態にすることができるが、古い外壁材を撤去したり、処分したりする費用がかかり、工期も比較的長くかかる。
メリット
・外壁を丸ごと張り替えるので、長く快適に暮らすことができる
・内部の防水シートなどもメンテナンスできるので、外壁からの雨漏りを完全に食い止めることができる
デメリット
・施工費用が高く、工期も比較的長い
・モルタル壁など塗り壁は、パネルやボードではないため、張り替えることができない
重ね張り
「重ね張り」とは、今ある外壁材を取り除かず、新しい外壁材を重ねて張る手法で、「カバー工法」と呼ばれる。
既存の外壁材の上に重ねるため、古い外壁材を撤去したり、処分したりする費用がかからず、工期も比較的短い。
補修不可能な不具合が発生している場合に行う方法。劣化した部分を取り除き、まっさらな状態にすることができる。
メリット
・「張り替え」に比べると施工費用が安い
・「張り替え」と同程度の耐用年数が期待できる
・内部の防水シートなどもメンテナンスできるので、外壁からの雨漏りを完全に食い止めることができる
デメリット
・外壁に不具合があり、強度が不足している場合には施工できない
・重量のある外壁材の上に「重ね張り」すると重くなりすぎて、耐震性に影響してしまう
外壁リフォーム時の基本的な確認事項
外壁の測定
・間口
・奥行
・高さ
・窓の大きさ(全て)
・足場スペース(600mm以上確保)
【雨漏り注意箇所】
①クラック 出窓付近は特に注意
②下屋根やひさし付近 壁との接合部に注意
③シーリングの切れ 排気口など付帯物付近に注意
外壁の劣化状況を確認
目視でひび割れ、破損、コーキング劣化などを調査。
その際、実際に外壁を触り、チョーキングや浮きなどの状態も確かめる。
【劣化の種類】
・クラック
外壁がひび割れた状態、亀裂のこと。クラックには、小さなクラックと大きなクラックの2種類ある。 小さなクラック:塗装膜が経年によって硬化して起こったもの大きなクラック:塗装膜の下地が割れてしまっている可能性がある。下地が割れていると雨水が侵入するため、下地腐食の原因に。
・チョーキング
外壁を手で触ると、白いチョークのような粉が付く現象のこと。雨や紫外線で劣化して、塗料の色味を作る顔料自体が粉状になっている状態。白亜化現象とも呼ばれる。 小さなクラック:塗装膜が経年によって硬化して起こったもの大きなクラック:塗装膜の下地が割れてしまっている可能性がある。下地が割れていると雨水が侵入するため、下地腐食の原因に。
・シーリングの劣化(コーキングの劣化)
シーリングまたはコーキングの劣化とは、サイディングボードやタイル外壁などの目地に充填してあるシーリングが劣化してひび割れてしまう状態のこと。
・サビ
サビは鉄部分に発生することが多く、銅板を使用した外壁などに症状が現れる。また、雨どいなどがサビついていて、そこに雨水が伝わり外壁をサビつかせてしまうこともある。
【その他の注意】
・サイディングの場合:反りや目地の割れも調査する
・モルタルやタイル材の場合:打診用のハンマーで叩き、音を聞いて浮きがないか確認する
面積の算出
図面がある場合でも、実際とは面積が異なっていたり、図面に記載されていない部分もあるので、その場合は図面と照らし合わせながら面積を出す。
立地の確認
・工事をスムーズに行うための周辺調査(道路の広さや駐車スペース、近隣との距離)
まとめ
外壁の現場調査は、お客様の日々の悩みをしっかりヒアリングすることはもちろん、プロの目線でお客様が気付かないような領域でもチェックを行い、建物の安全性を考えながら現場調査を進めることが大切です。
ただ見た目を綺麗にするだけではなく、建物の寿命を伸ばすために、建物がある地域の自然特性も頭に入れておくとよりよい提案ができるようになります。
そのために必要な情報を記録、ヒアリングするのが現場調査の役目です。確認漏れ・伝達漏れがないように現場調査を進めていきましょう。
その際には、是非情報共有アプリなど便利なツールを使っていくことをお勧めします。
現場調査におすすめの便利アプリ「GENCHO」
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