新築を建てた後に必ず必要になる「住宅点検」ですが、いままでは一般的にアナログな方法で行われてきました。しかしながら、業務の作業効率を考えていく必要が出てきています。そこでこの記事は、住宅点検とは、どのようなものかをおさらいし、そこに発生する課題と解決方法をまとめています。
住宅点検の基礎知識
住宅点検初心者の方にもわかりやすく基礎知識をまとめました。
住宅点検とは
住宅点検とは、売主や施工会社、ハウスメーカーが建てた新築の住宅をお客様に引き渡した後も、
定期的に点検を行うことです。住宅の機能が落ちたり、事故などを防ぐために点検を行います。
住宅点検は他に、「アフターメンテナンス」「住宅診断」などと呼ばれることもあります。
法律では、10年間にわたって工務店が骨組みや屋根、外壁、窓などの瑕疵(キズや欠点のこと)について責任を負うことが定められています。(「瑕疵(かし)担保責任」)
そのため、新築を建てた際には必ず発生する業務になります。
住宅点検を行う企業・人
住宅点検は必ずしも住宅を建てた企業がやるわけではありません。例えば、住宅点検を専門にしている企業に売主や施工会社、ハウスメーカーなどが依頼するケースが多くあります。
また、企業でなくとも、資格や実績を持っている場合、個人で請け負って実施しているケースもあります。
経験値によって差が出てしまわないように、各ハウスメーカーや工務店が、自社の安全性や信頼を獲得するため、共有のチェックシートを用い住宅点検を実行しています。
住宅点検を行う頻度
住宅点検は一般的に、引渡しを受けてから、半年、1年、2年、5年、10年などの期間で定期点検を実施します。実施時期や実施の有無は売主や施工会社・ハウスメーカー等によって異なるため、依頼をされた会社ごとに確認が必要です。
住宅点検にかかる時間
一般的な住宅点検にかかる時間は90~120分とされています。
基本的には目視で外構から室内をチェックと、施主様にヒアリングした気になる箇所を確認していく方法が多いです。
不具合などがある場合は、修繕を検討するため、写真や動画で記録をすることもあります。
住宅点検の基本内容
定期点検での点検項目の例はこちらです。
屋内の点検項目例
- 土台・床組:腐朽 さび 蟻害
- 柱・はり:腐朽 さび 蟻害
- 天井 :腐朽 割れ さび たわみ 雨漏り
- 壁:割れ 雨漏り 目地割れ 腐朽 さび
- 階段: 沈み 腐朽 割れ さび
建具の点検項目例
- 玄関建具: 隙間 開閉不良 施錠不良 金物不良
- 窓:隙間 開閉不良 施錠不良 金物不良
- 窓枠・戸袋:雨漏り さび コーキング不良
- 雨戸・網戸:開閉不良 さび
- 内部の建具:隙間 開閉不良 音鳴り 施錠不良 金物不良
設備の点検項目例
- 排水管 水栓器具:水漏れ 赤水 器具不良
- 排水管・トラップ:水漏れ 赤水 器具不良
- 台所シンク・洗面設備:水漏れ 詰まり 悪臭 器具不良
- トイレ 便器廻りの水漏れ:水栓タンク廻りの水漏れ
- 浴室: タイル等の割れ ユニットの割れ ユニットの隙間 器具不良 排水不良
- 窓枠・戸袋:水漏れ ガス漏れ 器具の異常
- 雨戸・網戸:動作不良 器具不良
- 内部の建具:スイッチ・コンセント動作不良
屋外の点検項目例
- 基礎:割れ 蟻道
- 外壁:腐朽 割れ さび 浮き 破損
- 屋根:ズレ さび 割れ 浮き 破損
- 雨どい:はずれ ヒビ
- バルコニー: 手摺ぐらつき 腐朽 割れ さび たわみ
- 防水:亀裂 捲れ 膨れ
住宅点検の業務効率化
住宅点検が抱える課題
①情報の整理と共有に時間がかかる
ほとんどの現場では「チェックシート」が用意されていますが、それぞれの現場で紙で記録をしています。また、修繕検討箇所がある場合は、そこについての情報も共有しなければなりません。
事務所に戻ってから、それを依頼主に共有するための作業時間が必要になるため、時間的コストが掛かってしまうケースも少なくありません。
資料作成や情報共有の時間が、通常業務を圧迫している状況は、業務においての課題と言えます。
②作業者や経験値の差
住宅点検は基本的に「目視」でおこないます。また、点検のタイミングが年単位のため、おなじ作業者が点検をすることは難しく、情報の記録と整理を確実にしておく必要があります。
しかしながら、皆が同じ感覚、観点、経験値でないため、差が生まれてしまいます。
特に新人さんはチェック漏れが発生したり、修繕のための確認が甘かったため再度調査にいく必要が出たりと、ベテランには発生しない時間のロスも発生しています。
業務効率化をするためのコツ
①クラウドサービスやアプリを利用する
クラウドサービスやアプリを活用するメリットは、書類データや画像をクラウド上に保存でき、共有相手がリアルタイムで確認できる点です。
業務で必要なデータをクラウド上で共有することで、必要な際にいつでもアクセスできますし、ネット環境があれば、どこからでもアクセス可能です。
また、住宅関連に特化したサービスやアプリも開発されていますので、業務内容にあわせて検討するのもおすすめです。
②チャットやコミュニケーション・ツールを活用する
社内の連絡や情報共有は、ビジネス用のチャットやコミュニケーション・ツールの活用がおすすめです。
これまでは、メールを使用することが一般的だったかと思いますが、メールの作成や検索に時間がかかったり、情報の整理が難しさにより、情報の把握漏れが起きたり、情報の検索に時間がとられたりすることがあります。
ビジネス用のチャットやコミュニケーション・ツールは、チャット機能だけではなく、タスクの管理やファイル送信など、あらゆる情報共有が可能なため、情報の所在は明確で、意思疎通もしやすくなります。
①のクラウドサービスやアプリの中には、チャット機能も入っているものもありますので、活用することによって、かなりスムーズな情報共有が可能です。
③ルーティン業務を自動化、テンプレ化をする
業務の中で、毎日行う作業を自動化したり、複数人が同じ内容を行う作業であればテンプレ化をすることで、作業時間を短縮でき、ミスも起こりにくくなります。
これまで書類作成などに費やしていた時間や手間を削減することで、業務全体の効率化につながります。
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